コラム

公開日:2022.06.04 最終更新日:2024.01.25

エンバーミングって?費用や流れ、エンゼルケア・湯灌との違いを解説

エンバーミングとは


エンバーミングとは、体内に残っている血液と保全薬を入れ替えることでご遺体を長期的・衛生的に保全し、きれいな姿や表情を保つことができる遺体保全技術です。
ドライアイスを必要とせず自然な状態でご遺体を保全できる最先端の技術であると同時に、遺された方々の心を癒すためのものであります。
土葬中心のアメリカやヨーロッパでは昔から広く普及していましたが、日本においても阪神淡路大震災以降急激に増加し、現在日本では年間約6万人の方々が施術を受けています。

エンバーミングは、IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)の認定資格を持つ専門的な教育訓練を経た「エンバーマー」が処置を行います。
エンバーマーの仕事には、主に次のようなものが挙げられます。

・火葬まで遺体を腐敗させないようにする消毒・殺菌処置
・遺体の損傷箇所の修復
・安らかな顔に導く死化粧

エンバーマーと似た職業に、納棺師があります。
納棺師とは棺に故人を納める際の儀式を担当する者のことで、故人の体をバスタブで洗い清める湯灌や、最後の衣装への着替え、死化粧を行った後に遺族とともに納棺します。
3点目の「安らかな顔に導く死化粧」は特に資格は必要ないため、納棺師によっても処置が可能ですし、場合によっては最後の入院先の看護師が行ったり(エンゼルメイク)、葬儀担当者が遺族とともにサービスの一環として行ったりするケースも見られます。

 
エンバーミングのおおまかな流れは、「①エンバーミングセンターへのご遺体の搬送」「②センターでの洗浄、消毒」「③施術」「④ご納棺」「⑤ご自宅や葬儀場へのご遺体の搬送」となります。
施術内容は基本的に防腐処置・保全処置となりますが、可能な範囲でご要望に応じてひげや産毛を整えたり傷口を修復したり、お好きな洋服にお召し替えしたりすることもできます。

 

エンバーミングの費用

エンバーミングの費用の相場は、約15万円から25万円ほどです。
これは基本料金が、IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)が定めたものですので、事業者間で大きな変動はありません。
これに加え、ご遺体の搬送費・安置費、損傷具合による追加の修復費が必要になることもあります。
さらに、海外輸送の場合では、施術費の他に航空運賃や航空機用お棺代金、諸手続き代行費用も必要になり、総額のエンバーミング費用は約70~150万円となるでしょう。

 

SECの提携社特別価格

エンバーミングのSECではエンバーミングを広く認知・普及を目指しているため極力金額を抑え、ご家族様にエンバーミングをご提供しております。
IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)が定めている基本料金、約15万円から25万円の相場に対して、エンバーミング料金を税込143,000円でご提供できる環境があります。
対象の斎場・葬儀場で葬儀を行った場合、 安置場所とエンバーミングセンター間、往復の搬送費を含め、エンバーミング料金を税込143,000円で施術いたします。
ご遺族様の「本人らしい姿で故人様を送ってあげたい」というご希望に応えつつ、 経済的負担を少しでも軽減する努力をしています。

 

エンバーミングを検討すべきケース

火葬まで日にちが延びてしまう

エンバーミングは血管を通じて薬剤を注入することにより、全身に血管経由で防腐ができるため、安全にかつ清潔にドライアイスが必要なく亡くなられた方を保全します。
そのため、ご家族が遠くにお住まいですぐに帰れない方、ゆとりある日程で葬儀を営みたいという方など、ご家族の事情を考慮しながらお応えさせていただくことができます。
また、安置室の料金が一日につき1万円とした場合、2週間で利用料は14万円となりエンバーミングの料金にかなり近づきます。
ケースによっては、エンバーミングを行う方が安価になる場合もあるといえるでしょう。
IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)の自主基準により死亡後50日を越えての保全処置は実施致しません。

 

その方らしい姿で見送りたい

大切な方と死別し家族が心をいためるのは、その大切な方と別れなければならない、喪失という事実に加えて、亡くなられた方のお顔が元気な頃と大きく変わっているからです。
闘病生活でのやつれ、眼や頬がおちくぼんでいる、病気で顔が歪んだ状態のままでいる、事故等でお顔の損傷が残っている等、様々な変化があります。
エンバーミングは生前のお写真を参考にし、元気だったころのお顔に近づけ、ご家族や身近な方々が良い思い出を抱いたままでのお別れが叶うようエンバーマーがお手伝い致します。

 

感染症のリスクがある

獨協大の調べでは、大学の病理解剖500例中65.2%にあたる326例に感染症が認められました。
エンバーミングは消毒・殺菌処置を施すため、感染症(結核、院内感染等)にかかったご遺体であっても処置後は公衆衛生上安全になります。
現在は「新型コロナウイルス感染症」にてお亡くなりになられた方にも対応しております。

 

海外輸送が必要

海外で死亡した場合のご遺体の日本への航空機での搬送、在留または観光での外国人が日本で死亡した場合にご遺体の航空機での搬送など、ご遺体の国際間の搬送はエンバーミングによる防腐処置が国や航空会社にて決められています。
エンバーミングのSECではご遺体の出入国に関わる手続きも承っておりますのでご相談いただければと思います。

 

エンバーミングのメリット

エンバーミングのメリットには、大きく3つ挙げられます。

ドライアイスが不要

エンバーミングでは保全薬を使用し体内から防腐するため、寒々しい見た目になってしまうドライアイスや保冷庫を使わずに、普段に近い環境でご安置できます。

自然な姿でお別れできる

闘病生活でやつれた表情、事故で負った損傷などを修復し、生前のお姿を再現します。
ご家族だけでなく、親しかった方々とも穏やかであたたかいお時間を過ごしていただけます。

感染症のリスクを抑えられる

ご遺体の体内に残るウイルスや病原菌を殺菌できるため、免疫力の弱い子どもやお年寄りでも感染症の心配なく安心してお別れできます。
新型コロナウイルス感染症で亡くなられた場合も、一定の条件のもとで通常のご葬儀に近い形でお別れをすることができます。

 

エンバーミングでできること

 

エンバーミング処置によってできること


※着替え、化粧、髭剃り、腹水除去、ペースメーカー外しなど一部を紹介しています。

 

①お化粧*修復

男性・女性共にお化粧もしくは保湿を行います。
可能な限りではありますがご病気によるやつれ、事故や検案による解剖で出来た傷痕を修復し、今よりも自然な状態を取り戻すことができます。

 

②ペースメーカー取外し

ペースメーカーがお体にある状態で火葬した場合、ペースメーカーが破裂し、お体や火葬炉の損傷につながる可能性があります。
エンバーミングではペースメーカーを取り除くことができ、取り除いた際の切開箇所は可能な限り目立たないよう縫合や修復を行います。

 

③腹水除去

腹水とはご病気や疾患等の理由によりお腹の中に水分が溜まっている状態です。
エンバーミングにより腹水は除去できます。ただ、一般的に腹水と・腹部脂肪との区別がわかりづらい場合があり、腹部脂肪の場合は除去できません。

 

エンバーミング処置ができないこと


※立ち合い、腐敗状態からの処置、第1種感染症、曲がった体など一部を紹介しています。

 

①高度腐敗

過度の腐敗によるお体の変化(暗赤色・暗緑色・腐敗網・強い臭気・ガスによるお顔の膨張)はエンバーミングでも元にお戻しすることが基本できません。
エンバーミングは腐敗を予防する処置のためです。ただ、ドライアイス併用の場合がありますがエンバーミングすることにより今以上の変化を抑えることができます。

 

②曲がった体:拘縮

拘縮とは筋委縮などで関節の可動域が狭く固まっている状態です。同じように加齢による背骨や腰の曲がりも直すことはできません。
拘縮は死後硬直と誤解されることがありますが、死後硬直は死後に起こる筋肉の硬化現象であり、死後硬直による曲がりはマッサージにより元に戻せます。

 

③自宅・斎場(式場)での処置

エンバーミングは専門の施設(エンバーミングセンター)でないと行う事が出来ません。
エンバーミングには専用の薬剤・機材・器具を用います。処置を安全に行うため、エンバーミングセンターは特別な空調を用いて環境を整える必要があるほか、排水処理に関する準備も必要となります。
そのため自宅・斎場での処置は行えません。

 

エンゼルケアや湯かんとの違い

エンゼルケアや湯かんで行われるお着替えやお化粧はエンバーミングと似ていますが、湯かんではお体の痛み(腐敗)を防ぐ保全処置は行いません。

 

エンゼルケアとの違い

エンゼルケアとは、一般的には医療従事者(もしくはそれに準じる方々)が病院や施設・ご自宅でお亡くなりになられた方に対して行われる「死後処置」もしくは「死後ケア」のことを表しています。
お身体をタオルで拭き、お口や目のケアやお閉じ、綿詰め、お着替えを行います。

 

湯かんとの違い

湯かんとは、湯かん師や納棺師もしくは葬儀従事者が亡くなられた方に対して行う儀式の一つであり、一般的にぬるま湯でお体を清めた後・着替え・お化粧を行います。
一般的にオプションで用意され、約5~10万円で行えます。
以前映画でありました「おくりびと」は主演の本木雅弘さんが納棺師として湯かんをされています。

 

どれくらいの人がエンバーミングをしているのか

利用者数の推移

1988年埼玉県に日本初エンバーミングセンターが開設されました。
エンバーミングが多くの方に認識され、社会的に注目されたのは1995年の阪神・淡路大震災といえます。
この時は外国人エンバーマーにより、ご遺体にエンバーミング処置が施されました。
これをきっかけに2000年には全国のエンバーミング件数が1万件を超え、2010年には2万件を超え、2021年では約6万件実施されています。
 

一般社団法人 日本遺体衛生保全協会調べ2020年

 

エンバーミングができる場所

全国のエンバーミングセンター数

2022年4月30日時点では、全国の27都道府県、27事業会社、76センターあります。

*北海道、東北(岩手・山形・宮城・福島)、関東(茨城・栃木・千葉・埼玉・東京・神奈川)、中部(新潟・福井・山梨・静岡・愛知・岐阜)、関西(京都・大阪・三重・兵庫)、中国(岡山・広島)、九州(福岡・大分・熊本・鹿児島)

 

神奈川県内のエンバーミングセンター

(株)SEC:平塚市、相模原市
YMSコーポレーション(株):横浜市
ライフ&デザイングループ(株):川崎市

 

まとめ

私はエンバーマーになり14年目になります。エンバーマーになる学生の頃からエンバーミングの魅力は、故人が故人らしいお姿で残されたご家族やご友人と最期のお別れが出来る事だと思っていましたし、今も変わらず思っています。エンバーミングは防腐処置だけでしょ?と言われることがありますが、防腐処置以外でも出来る事はあります。今回のコラムによってエンバーミングのことを少しでも知っていただけたら幸いです。

 

作成者:IFSA認定スーパーバイザー
稲部雅宏

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