コラム

2022.12.01

エンバーマーとはどんな職業?必要な資格や納棺師との違いを解説

エンバーマーとはどのような職業?

エンバーマーとはどのような職業?
エンバーマーは、エンバーミングを行う専門スタッフのことです。ご遺体にお着替えやお化粧をして身だしなみを整えることは元より、専門技術にて消毒・防腐・修復を行うことにより、衛生的なお別れを可能にします。日本では遺体衛生保全師と呼ばれることもあります。
近年需要が急速に高まっている職業ですが、聞きなじみのない方も多くいるのではないでしょうか。欧米では、火葬を行う人が増えたものの、宗教上の理由から主流は土葬であり、お身体を保全できるエンバーミングやエンバーマーという職業が広く浸透しています。対して火葬が主流の日本では、ご遺体をそのままの状態で保存する需要や、修復をしてお別れをする習慣がなかったため、エンバーミング自体が新しい技術として知られ始めているところです。日本においてエンバーマーの認知度が低い理由はここにあるでしょう。
※エンバーミングの詳しい内容については「エンバーミングとは?流れや費用を現役エンバーマーが解説」をご参照ください。

 

エンバーマーに必要な資格

エンバーマーに必要な資格
日本でエンバーマーとして仕事をするには、一般社団法人日本遺体衛生保全協会(以下IFSA)認定の資格を取得する必要があります。これは国家資格ではありませんが、エンバーマーに求められる知識や技術を持っていることの証となります。資格取得のための準備としては、専門学校での修業、もしくは海外留学が考えられます。
 

①エンバーマー専門学校で学ぶ

現在、IFSAの認定を受けているエンバーマーの専門学校は、神奈川県平塚市にある日本ヒューマンセレモニー専門学校のみです。ここでは、エンバーミングの実習はもちろん、ご遺体の衛生保全に必要な解剖学や微生物学などの知識から、ご遺族の心情を理解するためのグリーフケア、ご葬儀の実務を含む葬祭学まで幅広く学びます。2年間の修業を終えたのち、IFSAの資格試験を受けて合格すると資格を得られます。
※日本ヒューマンセレモニー専門学校HP
 

②海外に留学する

日本で学ぶほか、本場である欧米に留学するという選択肢もあります。例えばアメリカでは、葬儀の大学で学び、国家資格であるフューネラルディレクターやエンバーマーライセンスを取得できます。資格取得のために勉強しながら、現地のご葬儀の実際を肌で感じることもできるでしょう。

 

エンバーマーは人手不足

エンバーマーは人手不足
火葬中心の日本でエンバーミングが注目を集めている中、エンバーマー不足が課題となっています。IFSA認定のエンバーマーは2022年時点で約296名です。対して、エンバーミングが行えるセンターは2022年時点で全国に80施設あり、この10年で約2倍に増加しました。施行件数も右肩上がりに増加しているにもかかわらず、それをまかなえるだけの十分なエンバーマーの人手は足りていません。
全国の施術件数の推移

全国の施術件数の推移(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会調べ2021年) ※2021年施術実績59,440件

 
需要増加の背景には、以下の2つが挙げられます。
 ①葬儀の増加によって火葬まで日が延びてしまう
 ②故人様が安らかな状態でお別れしたいと思う遺族の心情
一つずつ簡単に解説していきます。
 

①葬儀の増加によって火葬まで日が延びてしまう

年々葬儀件数が増加していますが、火葬場の新設は大変に難しく、亡くなってから葬儀や火葬までの日程が延びてしまうことが多くなっています。その間ご遺体を衛生的に保つために、エンバーミングを依頼するご遺族が増加しています。ほとんどの場合でドライアイスを使う必要がなくなり、お身体を保冷庫に預ける必要もなくなります
 

②故人様が安らかな状態でお別れしたいと思う遺族の心情

火葬までの日程の長短にかかわらず、故人様を生前と変わらない姿で送り出してあげたいと考えるご遺族が増えています。背景として、元々縮小傾向だった葬儀の規模がコロナ禍でより小さくなり、会葬者のおもてなしや祭壇など対外的なものに充てられていた時間や経費が故人様自身へのケアや近い親族での十分なお別れのために充てられるようになったことが一因に挙げられます。ご遺族はもちろん、ご縁の深かった方々も安らかな状態の故人様を記憶に刻むことができるため、その後のグリーフケアにつながるというメリットもあります。

 
そのほか、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う需要も見られます。病院や施設の面会制限で長らく会えていなかった親戚などと安らかな状態でお別れしてほしい、というご遺族の思いや、ご遺族が海外にいてすぐに帰ってこられない、ご遺族に陽性者・濃厚接触者がいて参列を希望しているため隔離解除期間を待ちたい、というご遺族側のご事情にもエンバーミングはおこたえできます。

 

エンバーマーと納棺師は何が違う?

エンバーマーと納棺師は何が違う?
エンバーマーと似た職業として、納棺師が挙げられます。どちらも故人様・ご遺族双方にとって良いお別れをサポートする職業ですが、出来ることとその方法が異なります。エンバーマーは、ご遺体の科学的なケアも行うことができるので、お着替えやお化粧の他にも傷跡の修復や防腐等も行って、ご遺体のお手当てを総合的にします。対して納棺師は、納棺や湯灌の儀式を目的に、お化粧や着付けで身だしなみを整え、納棺まで見届けます。エンバーミングは防腐や修復のために小切開等お身体に手を加える手順がありますが、納棺師はお身体の表面的なお手当てなので、お身体に手を加えることなくきれいします。また、納棺師には資格が不要なことも違いの一つです。

 

エンバーマー

目的 ご遺体の状態を衛生的に「保つ」こと
タイミング きれいな状態で弔問客に会っていただくため事前に行う
方法 専用の機器や薬品を用いて体の内部から保全処置をする
場所 専門的な設備の整ったエンバーミングセンターで行う
できること 修復、保全処置、化粧、洗髪、整髪、着せ替え
専門資格 IFSA認定資格が必要

 

納棺師

目的 ご遺体の身支度を美しく「整える」こと、
タイミング 家族と一緒に納棺式の一環として行うため通夜当日に行う
方法 納棺式という儀式を通じて、安らかな表情や見た目にする
場所 葬儀場やご自宅で行う、家族が一緒に立ち会える(手伝える)
できること 化粧、洗髪、整髪、着せ替え
専門資格 資格不要

 

まとめ

今後ますます需要が高まるであろうエンバーミングの現場には、エンバーマーの存在が不可欠です。IFSAはこの需要増加を見込み、エンバーマー資格の国家資格化も進めているようです。国家資格化が現実となり、エンバーミングを担う人材が確保できれば、施術を希望するすべての人が早期に利用できるようになるかもしれません。

 

作成者:エンバーミング事業室・マネージャー
稲部雅宏

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