コラム

公開日:2024.02.22 最終更新日:2024.03.25

エンバーミングをした有名人は?メリット・デメリットもあわせて解説

エンバーミングは、ご遺体を長期的・衛生的に保存する技術として知られています。
その中には歴史的な著名人や近現代の有名人も含まれ、エンバーミング技術によって亡くなった後も永続的に保存されている例があります。
このコラムでは、エンバーミングの歴史やメリット・デメリットとともに、エンバーミングをした有名人の例をご紹介します。

エンバーミングの起源と歴史

エンバーミングの起源と歴史

 

エンバーミングとは

日本語で「遺体衛生保全」とも呼ばれるエンバーミングとは、ご遺体を洗浄・殺菌・消毒したうえで防腐・修復処置をすることで長期的・衛生的に衛生保全できる技術のことです。
血液・体液と保全薬を入れ替えることで敗血症などの感染症を防ぎ、きれいな姿や表情を保つほか、化粧や着替えなどを施して生前のお姿に近い状態にすることができます。
そのため、ご遺族のグリーフケア(=深い悲しみを癒す効果)があり、良いお別れの時間を持つことができます。
似たような処置に「湯灌(湯かん)」がありますが、こちらは保全処置は含まれず、あくまで見た目を整える処置になります。
エンバーミングはIFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)認定の資格をもつエンバーマーによって行われ、数時間で適切な処置が施されます。
日本では阪神淡路大震災以降普及・浸透し、現在では年間約6万人の方々がエンバーミングを受けられています。

 

エンバーミングの起源

エンバーミングの歴史は古代エジプトに遡ります。
古代エジプト人は、死者を永遠の生命へと導くと信じ、魂が宿る場所として体を保存するために保全技術を発展させました。
マミーとして知られるエジプトのミイラは、古代におけるエンバーミング技術と言えます。
現代のエンバーミングとは異なり、脳や内臓を除去したりご遺体を塩漬けにし乾燥させたりするなどの工程はありますが、処理が行われたご遺体に防腐剤を塗って殺菌するという部分に共通点が見られます。
最近では、イギリスの考古学者が紀元前4000年前からご遺体の防腐処置が行われていたことを明らかにし、ミイラづくりの歴史的な解明も進んでいます。

 

エンバーミングの発展と普及

中世ヨーロッパ・ルネサンス期になると人々のご遺体の衛生保全への関心が高まるとともに技術が改良されていきました。
特に貴族や王族の遺体がエンバーミングされ、永遠の安らぎを求めるために保存されました。
その後19世紀のアメリカでは、南北戦争によって亡くなった方のご遺体を遠く離れた故郷に送り届けるためにご遺体を保全する必要が生じ、エンバーミングの技術が普及しました。

 

エンバーミングされた有名人

有名人の遺体がエンバーミングされることは、彼らの死後の姿を永続的に保存するための手段として広く知られています。
その中には、歴史的な重要性を持つ著名人から近現代の有名人まで、さまざまな人々が含まれています。
エンバーミングされた有名人

 

エンバーミングされた主な有名人

ウラジミール・レーニン(ソビエト連邦の初代指導者 1870~1924)

エイブラハム・リンカーン(第16代アメリカ合衆国大統領 1809~1865)

ホー・チ・ミン(ベトナム革命の指導者 1890~1969)

毛沢東(中華人民共和国の政治家、思想家 1893~1976)

蒋介石(中華民国の政治家、軍人 1887~1975)

金日成(朝鮮民主主義人民共和国の初代最高指導者 1912~1994)

金正日(朝鮮民主主義人民共和国の第2代最高指導者 1941~2011)

ジョン・F・ケネディ(第35代アメリカ合衆国大統領 1917~1963)

マイケル・ジャクソン(ミュージシャン・ダンサー 1958~2009)

マリリン・モンロー(女優 1926~1962)

 

レーニンのエンバーミング

ソビエト連邦の指導者であるウラジーミル・レーニンの遺体は、1924年にエンバーミングされました。
彼の遺体はモスクワのレーニン廟で一般公開されており、数世代にわたって多くの人々に見られています。
1年半に1度処置が行われているため、100年たった今でもほとんど亡くなった直後の姿を見ることができるようです。

 

リンカーンのエンバーミング

アメリカの第16代大統領であるエイブラハム・リンカーンの遺体もエンバーミングされました。
彼の遺体は1865年に暗殺された後、公共の場に追悼空間を設ける目的でエンバーミングされました。
エンバーミングをしたことで2週間、約2700kmの移送をすることができ、多くの人々が彼に最後の別れを告げる機会を得ることとなりました。

 

その他の有名人のエンバーミング

近現代の有名人の中にもエンバーミングされた人々がいます。
キング・オブ・ポップと称されるマイケル・ジャクソンは2009年に亡くなった後、エンバーミングされています。
ご遺体はエンバーミング後、ステージ衣装を身に着けた姿で棺に納められているそうです。
一般公開はされていませんが、現在もロサンゼルスの霊廟に安置されています。
他にも、マリリン・モンロージョン・F・ケネディもエンバーミングされていることで有名です。

 

日本の有名人のエンバーミングは?

海外の有名人のエンバーミングが多く知られているのに対して、日本人の有名人がエンバーミングされたという情報は多くはありません。

日本は葬儀が近親者のみで行われることが多く、エンバーミングをしていたとしても公表していないと考えられます。

また、葬儀の文化の違いも原因として挙げられるでしょう。アメリカでは大半が土葬で、そのままの体の状態で埋葬するためエンバーミングが一般的になっていますが、日本は火葬の文化なので、比較するとエンバーミングの選択肢をとる割合が低くなっていると考えられます。

しかし、タレントの壇蜜さんがエンバーマー資格を取得されているなど、日本人のエンバーミングに対する興味や関心は高まりつつあると言えます。
この先日本でもエンバーミングが普及する中で、日本人の有名人でも実際にエンバーミングする人が出てくるかもしれません。

近年高齢化により亡くなる方が増加傾向にあり、時期によっては火葬場の空きがなく安置期間が延びてしまうことが増えたため、エンバーミングの選択肢をとる方が増えています。

また、認知度もあがり生前のお姿に近い状態でのお別れを望む方も増えています。ご葬儀において故人様の顔や姿は強く印象に残っていたり、記憶に残るものです。

たとえ安置期間が長いわけではなくても、多くの方にエンバーミングでより良いお別れをしてほしいですね。

 

エンバーミングのメリット・デメリットとは?

 

エンバーミングのメリット

ドライアイスが不要

エンバーミングは体液のかわりに保全薬を注入することによって腐敗を防ぐことができるため、安全かつ清潔な長期保存が可能になります。
また、ドライアイスを使用するとどうしても寒々しい見た目になってしまいますが、エンバーミングではその心配はなく、普段に近い環境でご安置することができます
費用面においても、ドライアイスを使用すると日延べ料金が発生するため、葬儀までの日数によってはエンバーミングを行う方が安価になる場合もあります
自身で判断がつかないときには葬儀社に相談してみましょう。
IFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)の自主基準により死亡後50日を越えての保全処置は実施致しません。
 

自然な姿でお別れできる

闘病生活でやつれた表情や事故で負った損傷なども修復し、お元気だった頃のお姿に近づけることができます。
生前のお姿が分かる写真などをエンバーミングを行うエンバーマーに共有すると、そちらを参考にお化粧やお着替えを施すこともできます
また、ご家族だけでなく、会葬者の方々にも在りし日の姿で対面していただくことができ、穏やかなお別れの時間を過ごしていただけます。
 

感染症のリスクを抑えられる

エンバーミングはご遺体に消毒・殺菌処置を施すため、感染症のリスクを抑えることができます。
結核や敗血症、新型コロナウイルスなどの感染症にかかったご遺体であっても、適切な処置を施すことにより公衆衛生上安全になります
そのため、免疫力の弱い子どもやお年寄りでも安心してお別れできます。
(新型コロナウイルス感染症で亡くなられた場合は、一定の条件のもと可能になります。)

 

エンバーミングのデメリット

オプションとして費用が掛かる

エンバーミングの基本料金の相場は約15~25万円です。
一般的に施術費や着付け・お化粧代がこの基本料金にあたります。
基本料金はIFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)で定められているので、多くの業者で大差はありません。
これに加えて、病院とエンバーミングセンター間のご遺体の搬送費や施術までの安置費、損傷の具合による追加費用などが別途必要となることがあります。

 

お身体にメスを入れる必要がある

エンバーミングのデメリットに、お身体を小切開しなければならない点があります。
ほとんど目立たない小さな切開となりますが、ご家族のなかには心理的な負担を感じることもあるでしょう。
場合によってはエンバーミングを受ける本人も交えながら、親族内でよく話し合っておくことも後悔のないお別れをする上で重要となります。

 

エンバーミングは道徳的・倫理的に問題ないの?

エンバーミングは、ご家族、そして何より故人様ご本人の尊厳を第一に施術されます。
中には亡くなった人の身体にメスを入れることに抵抗がある方もいらっしゃるでしょうが、一般的にエンバーミングには道徳的・倫理的に問題ないと言えます。
また、エンバーミングはIFSA(一般社団法人日本遺体衛生保全協会)認定の資格を持ったエンバーマーのみが行えますが、そのIFSAでは厳格な基準を定めたうえで「エンバーミングとは、ご遺体の衛生保全とご遺族のグリーフケアを目的に節度を持って行われるものであるため刑法190条(死体損壊罪)やその他の法律に抵触することはない」という法的解釈を示しています。
 
▶IFSA「エンバーミングの法的解釈」はこちら

 

 

エンバーミングを正しく知って検討しましょう

エンバーミングは古い起源があり、歴史上人々がご遺体の保全に大きな関心を持っていたことが分かります。
レーニンやリンカーンなど、実際に有名人がエンバーミングを施されていました。
エンバーミングは故人様との最後の記憶を美しく残すことができる技術です。
後悔のないお別れの時間となるよう、メリットやデメリットを正しく理解して検討してみてください。

 

作成者:エンバーミング事業室・マネージャー
稲部雅宏

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